ボーダーライン
―境 界 線―
〜Border Line〜
<T>
菜緒りん様
家が隣同士で幼馴染の歳三とセイが、
今までのように兄妹のような関係ではなく
お互いの事を異性として意識し始めてから、しばらく後の事…。
神谷家の前で振袖を着たセイを父、玄馬(52才)が写真を撮っている。
そして母の凛(51才)は、セイの傍で
結い上げた髪の後れ毛や着物の乱れを直してやっていた。
「セイ!もうちょっと顔上げろ!」
ファインダーを覗き込んだまま、玄馬が言った。
「……こう?」
セイは素直にそれに従ってはいるが、あんまり乗り気ではなさそうだ。
少し鬱陶しそうな表情と口調がそれを如実に物語っていた。
「ほら、セイ。ニッコリ笑わなきゃ!せっかくの装いが台無しよ?」
襟元を直してやっていた凛が諭すように言う。
「……だって別に家の前で写真まで撮らなくたってさあ。
結婚するのは私じゃないし。」
「いいじゃないの!アンタ滅多に着物着ないんだから。
普通、年頃の娘だったらお正月に着物着て
『彼氏』と初詣にでも行くものなんだけどねえ…。」
凛が情けなさそうにフゥ〜っと溜め息をついた。
「悪かったわね!!いないのよ!!その『彼氏』が!!」
「だったらブツブツ文句言わないの!!成人式に着ただけじゃもったいないでしょ?!」
そう言って凛がセイの帯をポンッ!と叩いた。
「こらセイ!!いい加減に写真を撮らせろ!時間がないんだから!
無理やり笑えとは言わんが、怒鳴るな仏頂面するな!!
せめて澄ました顔しとけ!!」
やっと構図を決めたと思ったらセイが動くは、ふくれっ面するはで
なかなかシャッターを押せない玄馬が痺れを切らせて怒鳴った。
「だって、お母さんが色々言うからさ!!」
「アンタが不機嫌そうにしてるからでしょ?せっかく綺麗な着物着てるのに!
…………あら?!トシくん、おはよう!」
凛が自分の家の玄関のドアにもたれて腕組みをし、
ニヤニヤ笑いながらこちらを見ている歳三に気がついた。
*** *** ***
(げ゛!!トシ兄!!)
今度はセイの顔がふくれっ面からびっくり顔に変わった。
「おじさん、おばさん、おはよう。」
そう言いながら歳三は玄関のドアから門柱に移動する。
「おお!トシ!おはよう。見てたのか?」
「ああ。セイの大きな声が聞こえたんでね。」
「ねえ?こんなに綺麗な着物着てるのに、少しもしおらしくないんだから。」
「だから!!それはお母さんが!!」
「結婚式ですか?」
玄馬は礼服を凛は留袖を着ているのを見て歳三が聞いた。
「ああ。セイの従姉のね。祐馬とは式場で待ち合わせてるんだ。」
「セイと1つ違いなのよ。向こうはお嫁にいくっていうのにこっちは……。」
凛が少し眉を顰めながら溜め息をついた。
「向こうは短大出て就職したからだよ!私はもう1年大学があるもん!」
自分でもちょっとショックだった事を言われて、
セイの機嫌はますます悪くなる。
「……そ―ゆ―問題じゃないと思うがな。」
玄馬も凛に同意するように言う。
「……ど―ゆ―意味よ?!」
セイは玄馬を睨みつけた。
「アンタ、卒業して2年後に結婚する自信ある?」
今度は凛がセイを追い詰める。
「う゛っっ!!……そっ……それはっっ!!」
「ないでしょう?今まで1度だって『彼氏』を家に連れて来た事ないもんねえ?」
「うぅぅぅぅぅぅ……。」
またまた痛いところを突かれたセイは全く返す言葉が出てこなかった。
その様子を見ていた歳三が「ははは!」と笑った。
すかさずセイがキッ!と睨み返す。
「おい!たかが写真を5〜6枚撮るのに一体何時間かかるんだ?!」
「そんなにいっぱい撮るのぉ〜?!」
セイはもう既にこの状況が億劫になっていた。
「いや、せっかくだから7〜8枚……いやいや、どうせなら10枚ぐらいいっとくか!!」
「じゅ…10枚?!」
呆気に取られてセイの表情が瞬間的に硬直した。
「それぐらいは撮るぞ。お前の事だ。次にいつ着物を着るかわからないからな!」
一人娘の晴れ姿を残しておこうと玄馬はやる気満々だった。
それを否定できないセイは仕方なく歳三の視線を気にしながらも、
渋々玄馬や凛が言う通りに時には後ろを向いたりして
数枚写真撮影をこなした。
(トシ兄が見てると何だか落ち着かないよ……。)
例のベランダでの一件以来、歳三に対して何だか今までとは違った感情が
セイの中に生まれていた。
もっともそれがどういう種類のものなのかはわからないのだが。
「そうだ!トシくんも入って2人並んで撮ったらどう?」
ふと思いついたように突然凛が言った。
「「「 え?! 」」」
歳三とセイ、そして玄馬までが驚いて同時に凛を見た。
「な…なんでトシ兄も?!」
セイは思わず声が裏返っていた。
写真を撮っているところを見られてるだけでも落ち着かないのに、
この上、一緒に写真を撮るなんてとんでもなかった。
「いや、俺は関係ないし!……この通り普段着だし!」
完全に見物人と化していた自分にお鉢が回ってきて
歳三は思いっきり慌てた。
「いいじゃない。滅多にないんだから。こ―ゆ―事も。」
「そう言えばそうだな。セイが小さい時はよくトシと写真を撮ってたが、
最近はなかったからな……(遠い目)。」
玄馬と凛がしみじみと言う。
歳三とセイは顔を見合わせて同時にコッソリと溜め息をついた。
親(玄馬と凛は歳三にとっても親同然)にこういう言い方をされては、
どうにもこうにも拒めない。
「でしょう?ほら!トシくんセイの隣に並んで?
悪いけどあんまり時間がないのよ。」
凛がチラッと腕時計を見ながら言う。
「あ…ああ、じゃあ……。」
歳三がおずおずとセイの隣に並んだ。
*** *** ***
「……よぉ。」
「よ…よぉ!」
歳三がボソッと言い、セイも何だか気恥ずかしそうに答える。
「ごめんね?お母さん達が無理やり。」
「いや?俺は別にいいぜ?お前が良けりゃあな。」
「そ…そお?わ…私も別にいいけど……。」
歳三と2人で並ぶなんて今まで何度もあったはずなのに、
セイは何だか胸がどきどきして落ち着かなかった。
真っ直ぐに顔を見る事が出来ず、おずおずと横目で歳三を見た。
すると歳三はマジマジとセイの方を見ていた。
「な…何!?」
自分をジッと見つめている歳三に向かってセイが言った。
「いや……。」
「どうせ、まるで『七五三』だなって思ってんでしょう?!」
「惜しいな。『馬子にも衣装』の方だ。」
「?!どっちにしたって変わらないじゃないの―!!」
セイが歳三に向かって拳を振り上げた時、玄馬の大きな声が聞こえた。
「おい!2人ともいい加減こっち向け!」
仕方なくセイは手を下ろし、玄馬達がいる正面を向いた。
「じゃあ、撮るぞ―?」
セイは何だか複雑な気持ちのまま、写真に納まった。
「あら!お父さん!早くしないと遅れちゃいますよ!」
凛が腕時計を見て慌てた。
「おお!ほんとだ!セイ、行くぞ!トシ、またな!」
玄馬が急いでカメラをしまい、
既にガレージから出して家の前に停めてあった車に向かった。
凛も玄馬について車に向かう。
「はい。行ってらっしゃい。祐馬によろしく!」
玄馬と凛にそう言うと歳三はセイに向かって言った。
「じゃあな。気をつけて行って来い。転ぶなよ?」
そして、ニヤリと笑う。
「(むか!)転ばないよ!七五三の子供じゃあるまいし!行って来ますっ!」
からかうような口調にムカついたセイが小走りで車の方へ行こうとした時、
歳三がポツリと言った。
「さっき言った『馬子にも衣装』ってのは、一応褒めてんだぜ?」
「……え?」
その言葉を聞いてセイが一瞬驚いて振り返ると、
歳三の表情からさっきのからかうような雰囲気は消え
少し微笑んでいるように見えた。
「トシ兄?」
「ほら!早く行け!おじさん達が待ってるぜ?」
歳三は戸惑うセイの背中を軽く押して玄馬達の車へ行くよう促した。
「う…うん。行って来ます……。」
セイは何だか今までとは違う歳三の様子に戸惑いながら
車に乗り込んだ。
歳三はセイ達の乗った車が見えなくなるまで外で見送っていた。
着物姿のセイが写真を撮っているところを離れた場所から見ていると、
幼馴染ではなく、全然知らない女性のように見えた。
だが、一緒に写真を撮るために傍に近づき間近で見ると、
化粧をし着飾ってはいるが、やはり自分のよく知るセイだった。
人はいつまでも赤子や子供のままではない。
自分だって成長し年をとっていくように、
セイも大きくなって『少女』から『女性』になっていくのだ。
産まれた時から知っている妹同然のセイが、
自分の知らない間に段々大人の女性になっていく。
よく考えればごく当たり前の状況が、歳三には何だか不思議に思えていた。
*** *** ***
それから数日後、セイは大学のサークルの飲み会に参加した。
二次会へ繰り出す者もいたが、セイは翌日提出しなければならない
レポートがあったので、一次会のみで帰って来た。
「本城くん、ありがと。ここが私の家だから。」
いつもサークルで気が合い、よく話をしている同期の『本城 信』(ほんじょう しん)
が、セイを家まで送ってくれた。
「……そうか。じゃあレポート頑張れよ?!」
「うん!ほんとに送ってくれてありがとね。じゃあ、また明日!」
セイは本城が見えなくなるまで玄関先で見送ろうと思っていた。
だが、何故か本城はセイを見つめたままなかなか立ち去ろうとしない。
「?…本城くん?どうしたの?」
不思議に思ったセイが少し近寄ると
本城はセイの腕をグイッと掴んだ。
──その頃土方家では歳三に会いに来ていた総司が帰るので、
歳三が玄関まで見送りに下りていた。
「じゃあ、そ―ゆ―事で。お邪魔しました〜!」
「おお。気をつけて帰れよ?」
「はいぃ〜!」
総司がそう言ってドアを開けた。
「うわ!!」
だがすぐにまた閉め、ドアを背に歳三の方へ向き直った。
「?!何だ?どうした?」
「土方さん、大変です!」
「何が大変なんだ?!」
「神谷さんがいます!」
「セイか?別にいたっていいだろ。アイツの家は隣なんだし。
ちょっと帰りの時間が遅いが飲み会でもあったんじゃねえか?」
「そ―でなくてですね!男の子と一緒です!2人きりです!!」
「……時間が時間だから送ってもらったんじゃねえのか?」
「そんな雰囲気じゃありません!」
「ならどんな雰囲気なんだよ?構わず出て行けばいいじゃねえか!」
歳三の言葉を無視して総司はドアを少し開け、外の様子を伺った。
──一方、こちら外のセイと本城。
「?!……本城くん?!」
セイは驚いて本城を見た。
「神谷……俺とつきあってくれ。」
「え?!それってど―ゆ―…。」
「///// お前の事が好きなんだよ!鈍いヤツだな! /////」
──そして土方家の2人。
「うわうわうわ!!」
総司はまた慌ててドアを閉めくるりと身を反転させた。
「何なんだよ一体?!」
歳三の眉間に皺が寄った。
「告白してます!告白してます――!!」
「?!セイがか?」
歳三は何故か胸が『ドキッ!』として『嫌ぁ〜な気分』になった。
「違います!男の子……あ、本城さんっていう名前みたいです♪
その人が神谷さんに告白してるんです!!」
「 ………………。 」
セイが告白しているのではないと聞き『ドキッ!』はなくなったが、
『嫌ぁ〜な気分』はそのままだった。
(???)
歳三はどうして自分が今そういう状態になっているのか、
今はのんびり分析している状況ではなかった。
いちいち状況を報告する総司に対して苛ついていた。
「とても今出てなんて行けませんよ〜〜!
しかし、神谷さん何て答えるのかな……?(わくわく)」
総司はまたドアの隙間からコッソリ外を見る。
「……(怒)!!お前は出歯亀か!!とっとと出てけ――!!」
━━━━ドカッ★━━━━
業を煮やした歳三が総司のお尻を後ろから思いっきり蹴飛ばした。
──外のセイと本城。
「ええっ?!」
「神谷……好きな相手とかつきあってる相手とかいるのか?」
「……いない……けど……。」
「だったらさ、俺の事をつきあう相手として考えてみてくれないか?
返事は急がなくていいから。」
本城がそう言った時、
━━━━バンッ!!━━━━
と、土方家の玄関のドアが勢いよく開いて総司が中から
前につんのめるようにして飛び出して来た。
総「うわっっ!!」
本「?!」
セ「沖田先生?!」
セイと本城は呆然と総司を見つめた。
「こ……こんばんは〜。神谷さん、本城さん、すみません〜!
お話中〜驚かせてしまって〜!」
何とか転ばずに体勢を立て直した総司が蹴飛ばされたお尻を撫でつつ
涙目のままセイと本城に向かって近づきながら言った。
「い…いや、いいですけど……あれ?先生?何で紹介してないのに
本城くんの名前を知って…………あ!もしかして…………?
先生?聞いてましたね?今の私達の会話。」
セイが横目で少し睨みながら言った。
「覗く気はなかったんです!でも、ドアを開けたらお2人が見えたので……。
出て行こうとしたんですが、何だかお邪魔になりそうで……。」
「「///// そ…そーでしたか……。 /////」」
本城とセイが2人揃って真っ赤になった。
「それで土方さんに様子を説明しながらいつ出て行こうかって言ったら
『気にせず早く出てけ!!』ってお尻を蹴飛ばすんだもの〜!!」
「……え?!」
(まさか、トシ兄も見てたの?!)
セイは驚いて土方家の玄関に目をやった。
すると歳三が無表情でいつものように腕組みをし、
玄関のところに立っていた。
「ト…トシ兄……!」
「俺は別に覗いてねえからな。覗いてたのはそいつ(総司)だけだ。」
「本城さん。私は神谷さんの家庭教師をしてた沖田総司といいます♪
んで、あっちの目つきも性格も悪そうな人(歳三)は神谷さんのお隣さんです!」
セイが呆然としている間に総司は本城に自己紹介をしている。
「あ…ああ、そうですか!俺は本城信といいま……あ、名前はもうご存知ですね。
彼女(セイ)の大学の同期生でサークルも同じなんです。」
「そうなんですかあ!」
総司は本城とセイの話の輪に自然に入っていっているが、
歳三は玄関のドアにもたれたまま、相変わらず仏頂面で無言のままだった。
「じゃあ、神谷。俺、帰るわ。返事待ってる。でも、急がなくていいから。」
告白を途中で邪魔された本城は仕方なくセイの返事を聞かぬまま
帰る事になってしまった。
「///// あ……うん。わかった……。 /////」
「っつー事で、じゃあな!」
本城はセイにそう言うと歳三と総司に向かって頭を下げる。
「うん……バイバイ……。」
セイは手を振って本城を見送った。
本城が帰った後、気まずい空気が3人の間に流れていた。
歳三は微妙に不機嫌そうな表情でドアにもたれ、
セイは気まずそうに俯き加減で視線を逸らし、
総司は何だかいつもと違う雰囲気の2人を戸惑いながら交互に見ていた。
「い…いやあ……なかなか感じの良い好青年ですねえ……。
仲がいいんですか?神谷さん?」
何とか空気を和ませようと総司が口を開いた。
「はい。何だか話がすごく合うんで、大学でもしょっちゅう話してるんです。
優しいし話し方も面白いし、見た目も格好イイので女子にも人気あるんですよ!」
「そうですか!じゃあ、そんな人気者に告白されたなんてすごいじゃないですか!」
「いえ……でも、まさか想ってくれてたなんて全然知らなかったですから……。」
総司とセイの会話を歳三は相変わらず不機嫌そうに黙って聞いている。
「え…っと、じゃあ私も帰りますね?」
とうとうその場に居づらくなった総司は退散する事にした。
「おう。」
「あ、はい。先生おやすみなさい。」
歳三が眉間に皺を寄せたまま頷き、セイは頭を下げて総司を見送った。
「見てた…じゃないか。聞いてたんだ?」
「総司が勝手に状況をペラペラしゃべってただけだ。」
歳三がボソッと低い声で言った。
そして更に言葉を続ける。
「お前なあ、俺や総司だから良かったけど近所の目って―のがあるんだから、
もう少し気をつけろよ。家のまん前であ―ゆ―話するな。」
ぶっきらぼうな強い言い方にセイは思わずムカついた。
「別に私が仕掛けたわけじゃないし、あんな話になるなんて思わなかったもん!」
「お前が鈍くて無防備で隙があるからだよ!」
「はあ?!何それ?!何怒ってんのよ?!」
「別に怒ってなんかねえよ!」
「怒ってるじゃん!機嫌も悪いじゃん!何だか顔も極悪人顔になってるし!」
「怒ってねえし、機嫌も悪くねえ!!この顔は産まれつきだ!!コレが普通!!」
「「 ………………。 」」
「とにかく早く家に入れ!おじさんとおばさんが心配するだろうが?」
「言われなくたって入ります!!おやすみっ!!」
セイは思いっきりムカつきながら歳三に背を向けて勢いよく玄関に向かって歩いた。
*** *** ***
━━━━ガチャッ!━━━━
「ただいま!!」
ドアを開けると凛が上がり口に立っていた。
「何?どーしたの?大きな声出して。トシくんでしょ?喧嘩したの?」
「別に?!トシ兄が勝手になんか怒ってるだけ!」
そう言ってセイは階段を上り自室へ入った。
「全くもう!何が気に入らないのよ!」
ベッドの上にバッグを投げつけて自分も寝転んだ。
ふと思いついたように起き出して、ドレッサーの引き出しを開ける。
そして中から1枚の写真を取り出した。
それは先日着物を着た時に歳三と2人で撮った写真だった。
何となく戸惑い、照れ臭そうな2人が写っている。
「トシ兄……何であんなに怒るの?それに何で私は
後ろめたいような気持ちになったんだろう?」
歳三には本城に告白された事はなるべく知られたくなかった。
何だかそういう気持ちがしていた。
だが、どうしてそういう気持ちになるのかが、セイにはわからなかった。
「もう!わけわかんない―!」
しばらく見つめた後、写真の中の歳三に向かってそう言って、
『べぇ―!』と舌を出して顔をしかめた。
一方、歳三も自室に戻っていた。
「全くあのガキ!!無防備すぎる!!」
ベッドの縁に座ってタバコを吸おうとサイドテーブルに手を伸ばす。
タバコとライターを手に取り、ふと横にあった1枚の写真が目に入った。
それはやはり着物姿のセイと2人で撮った写真だった。
写真が出来上がった時に、凛が歳三にも渡していたのである。
「そろそろ気づけよ!自分が『女の子』じゃなくて『女』になっていってるんだって!」
そしてしばらく写真を見つめた後、ポツリと言った。
「しかし、何で俺はこんなに腹が立ってるんだろう……?」
『兄と妹』のような関係から『男と女』の関係へと変わる境界線が
すぐ目の前まで近づいて来ている事に
歳三とセイはまだ気づいていなかった。
*〜To be continued...〜*
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「貮拾萬打」お礼フリー小説「ボーダーライン(T)」です。
「2周年記念」お礼企画の折に執筆したしました「スタートライン」の続編です。
よろしかったらどうぞお持ち帰り下さいませ。
「スタートライン」でお互いを意識し始めた2人ですが、
今回でまたもう一歩、前に進んでいます。
ほんとに小さな一歩ですけれどね!(汗)
最後は喧嘩で終わってしまいましたが、
実はこれが少し後をひく事になります。
そして2人の『距離』が少し空く事になるんです。
次回はたぶんサイト開設2周年の折になると思います。
(風コンテンツではなくサイト自体の…です。)
皆様「貮拾萬打」、本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
=菜緒りん= 2006.2.2

『Labyrinth』様の貮拾萬打御礼フリーSSを頂戴して参りました。
ちょっとずつお互いを意識し始めた歳とセイちゃん。
でもまだ昔のままの関係から踏み出せずにいます。
こういう幼馴染の関係は「きっかけ」でもないと、次の段階へと進めないのかもしれませんね。
その「きっかけ」がセイちゃんが他の男子に告白されたこと…
だといいのですけれど、菜緒りん様のお話だと、まだまだ何やらありそうです。
続きがとても楽しみです。(*^-^*)
今更ではございますが、菜緒りんさま、貮拾萬打おめでとうございます。
これからもサイト共々、どうぞよろしくお願いいたします。m(__)m
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