じゃじゃ馬紅葉狩り
                       京 類架様


 




桜色の頬をさすりながら、こっそりと自室へ向かう土方。

廊下の角から現れた斉藤が、目ざとくその紅葉形を見つけた。
「くっきり・・・ですな。」
ふっと笑いながら隣を歩く斉藤に、土方はピクリと眉を上げた。
「お前が余計なことを言ったからだろうが!」
「聞いた後にどうするかはアンタの勝手でしょう。」
「なに〜!!」





息も途切れ途切れに成りつつ、土方は沖田・斉藤の部屋へ滑り込む。
斉藤は、刀の手入れをする手を止め、ちらりと見るとまた手を動かし出した。

 「土方くぅぅ〜ん。何処へ行ってしまったんだぃ・・・。」

廊下の奥で足袋のこすれる音が遠ざかっていく。

耳を澄ましてももう聞こえない。冷ややかな汗を拭い去ると、土方は大きく息をついた。
 「まったくしつこくてかなわねぇ。神谷もいねぇし。」
舌打ち交じりに吐き捨てると、改めて斉藤しかいないことに気がついた。
 「そういや総司はどうした?」
斉藤は手を休めることなく答える。
 「神谷と出かけたようです。」
もう一時も前に肩を並べて出かけていった・・・。
斉藤が心を乱したからか、指先に血がにじんだ。

 「あの二人はまったく仲が良いな。」
呆れたように言った後、土方は何気なしに付け加えた。
 「俺に衆道の気はないがな。」
一呼吸置いて斉藤は付け加える。
 「沖田さんもそうだと思いますが。」
片眉を上げて、土方は障子へと伸ばした手が空を切る。
 「けど、あの二人を見てるとそうなのかもしれねぇじゃねぇか。」


 「不治の病と言いますし。このまま女子になったとしても・・・。」
そういえば・・・と土方は清三郎の華奢な体を思い出した。

 「あんな童、ただのじゃじゃ馬じゃねぇか。」
そういうと、「世話になったな。」と言い残し、廊下を足早に歩き出した。




発句でもするかと、お気に入りの場所へと向きなおした。
けれど、句を読んでもセイの柔らかな感触を思い出しては、頭
を振り思考を落ち着かせようとする。
 「鈴の音に 紅葉色づき ・・・。あー駄目だ駄目だ。」
必死に平常心を取り戻そうと発句に励んでも、土方の頭の中に は
小さなじゃじゃ馬が駆け巡る。
やはり自室でゆっくりしようと溜息を残して後にした。


自室で仰向けに寝転んでみたものの、土方はまた思い出していた。

 そういや、あいつが入隊してきた時も女子みたいだったな。
 何だかだと問題になる時は決まってあいつに色目使う奴等がいて。
 最近じゃ大人しくなってきたが・・・。

神谷が女子・・・。と思った途端、女子姿の清三郎を想像し、慌てて飛び起きた。
その時、清三郎が土方の部屋にするりと入ってきた。
途端に、冷ややかな空気が二人と包む。

 「清三郎〜清三郎〜・・・。」

 「ば、馬鹿か!こっちに来ちまったらどうすんだ!」
清三郎は、バッと振り返り、ジェスチャーで静かにしてください!!と訴えた。
そしてまた、障子越しに聞き耳を立てている。

微動だにできない無音の部屋の中に、土方の鼓動が耳につく。
清三郎の後姿をじっと見ていると、腕に清三郎の感触がまざまざと蘇ってきたのだ。
よくみれば、襟が抜けているように見えてくる。

 「副長。ありがとうございました!」

清三郎の声にはっ我に返ると、清三郎は一礼をして障子へと方向転換するところだった。
 「お、おう。」
この俺が見惚れちまうとは、と締りの悪い口に手を当て背を向けた。


つるん。デェーーーーーン!!
 「ったぁぁぁ!!!」
地響きに振り返れば、清三郎は仰向けになって倒れこんでいる。
頭を打ったらしく、両手で後頭部を抱え込んでいた。
 「大丈夫か?!」
清三郎の側に駆け寄り、様態を見ようと顔を覗き込んだ。
そして、他に怪我はないかと見下ろしていくと、
袴がめくれ上がり清三郎の白い足がモモまで見えていた。

 こいつ、綺麗な肌してんな・・・。

清三郎がやっとのことで起き上がったとき、呆けた顔の土方の視線に頬を染め立ち上がった。
 「何を見てるんですか!この助兵衛っっ!!」
 「あ”ぁ?!お前だって総司と仲良くやってるじゃねぇか。
俺は衆道の気はねぇ!」

売り言葉に買い言葉。
しまった、と息を飲んだ瞬間、清三郎の平手打ちが炸裂した。






まったく斉藤が余計なことをいうからだ!
と遊郭にいく土方を見送る斉藤は、メモにこう記した。

『ライバル現る。』










おしまい。
















『NovApri』様のキリ番【10000】を踏んでリクさせていただきました(*^▽^*)
類架さま、ありがとうございますvv

『NovApri』様は、『風光る』の二次も扱っていらっしゃいますが、メインは『オリジナル』…『花男』? 
おいおい、私よ……^_^; 
でもとっても素敵なお話を書かれるのです。

リクさせていただく時に、類架さまが「『風光る』の二次でもいいですよ〜」と
ちらりと仰ってくださったのに付け込んで 「歳と一さんの“らしい”会話でお願いします。」と図々しくお願いした私…。
そんな私のリクにしっかり応えてくださり、ありがとうございます。(*^-^*)

歳のほっぺについた「紅葉」(笑) 私も便乗してしっかり観賞させていただきました。
そして歳を「ライバル」だと看破した兄上は流石です(笑)
二人のやりとりを楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。m(__)m

奇しくも、拙宅の【10000打】突破にいただいた御品。
まるで「お祝い」を頂戴したようで二重に嬉しいです(*^▽^*)
いつもいつも拙宅の掲示板を賑わしてくださる類架さま。
これからもサイト共々、よろしくお願いいたします(*^^)v








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