過去の拍手御礼文です。



提供:ちっちゃなお題。様
項目:『指』より








1.不器用な指たち




「何やってんだ、もう…。 いいから、貸せっ!」



もう冬の訪れを感じさせるほどの外気の冴え。

自販機へ入れようとした硬貨が手から零れ落ち、チャリンと舞った。


慌てて拾おうとした私の指はかじかんで思った通りに動いてくれないの。

硬貨は冷たいコンクリートの上で固まったまま…。


「あれ?」

「あらら?」

私が小さな声をあげる度、あなたの右手がもどかしそうに動く。


そして、ついに 我慢できなくなったみたい ―― 。




でも、私は知ってるの。

あなたの指も私に負けないくらい冷たかったこと…。







2.指先が触れた時、




片付けようとしたカップに、あなたも手を伸ばした時、

TVのチャンネルを変えようとした時、

「それ取って!」と言われたものを手渡そうとした時、


そして、あなたと並んで歩いている時……。





ちょっとだけ触れた指先に、どれだけ幸せを感じているかなんて、

きっとあなたは知らないのでしょうね ―― 。






3.薬指




友達の薬指に光るモノ発見。

右手のすっと伸びた薬指に、それはぴったりと嵌っていて…

そして、それを大事そうに触っている彼女が、

なんとも幸せそうに微笑む態に、つい見惚れてしまったの。


そう、未来の自分を重ねて。

うふふ… 私の時は 左手の、がいいなぁ。






4.好きな指。あなたの指。




あなたのどこが好きか、って訊かれたら…

切れ長の目でしょう…

それから、普段ぶっきら棒なのに、時々優しい言葉が零れる口でしょう…

そして、広い背中…

それからそれから、喉仏も。




でも一番大好きなのは、

ごつごつとしている大きな手。

そして何より、あなたの指。

特に小指が好き…。






5.絡めた小指




「もう、いやっ!」


これだけは絶対言わないでおこうと思っていたのに、

あなたに会えない寂しさに、もう我慢が出来なくなってしまったの。

久しぶりのあなたからの電話、

また今週末も会えない、だなんてひどいと思わない?


咄嗟に口から出てしまった言葉。

それだけ言って携帯電話の電源をオフにしたの。



次の日。

朝早く家の前で待ち伏せしていたあなた。

驚いた私の手を取り、小指同士を絡めたの……。


「もうすぐ今の仕事が終わるから。そしたら…。」


きょとんとしている私の耳元で「拳万な…。」

そう呟いて、あなたはそっと小指を解いた…。
















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