過去の拍手御礼文です。



御題:お題配布処 ―凍蝶― 様 より

『届かぬ恋で10のお題』








1.誰にも言えない



いつからだろう。

俺が君への気持ちに気付いたのは。



「そうちゃん。」

そう呼んでいつもあいつに纏わりついていた君。

やわらかな君の声の響きと

はにかんだように笑うその姿に

好感を持っていたのはあいつだけではない。



俺にとって弟のような存在のあいつと付き合っている君は

いわば妹のようなもの。



それなのにいつしか心惹かれてしまったのは

あいつへの裏切りだろうか。








2.手が出せないからこそ



時々、三人で遊びに行った。

俺には「彼女」なんていなかったから、

気を遣っていたのだろうか?

飄々としたあいつの考えていることはわからない。


傍目から見れば不自然な三人組も

君が自然に笑っていてくれたから、景色に溶け込めた気がする。

俺はそれだけで楽しかったし、

あいつも余計な気は遣わなかった。


あいつと君の絆が 俺を近付けない時があっても、

その時、俺の胸の奥がつきり、と痛んだとしても、

俺は やっぱり、あいつと君の傍にいるしかない。



君に触れたい‥

そう思ったことはある。

でも……

俺には壊せない、あいつとの関係も、君との距離も。

だからだろうか。

より想いが募るのは。








3.それでも僕は




俺が君への想いに気付いたとしても、

それをどうこうしたいとは思わない。


あいつといる時の君が一番綺麗に見えるから。


本当なら、それはとっても胸が痛いことなのかもしれないが、

俺はその時の君が一番好きなんだ。


だから俺は、あいつのいい兄貴分のままで、

君を含めたあいつをずっと見守っていこうと思った。


あいつが笑って、

君が笑って、

俺も笑って。


そんなふうに過ぎていく日々も、多分、幸せに思えたはずなんだ…。








4.触れたいけれど 触れられない




小刻みに震える君の肩が愛しく思えて

思わず抱きしめてしまいそうになった。


君がそんなに泣いているのは あいつの為だというのに。



あいつとの突然の別れ…。

俺もつらかったが、君はそれ以上なんだね。



一人、じっと悲しみに耐える君。

その姿があまりに儚げで 俺はつい手を伸ばしたくなる。

そのまま君があいつのところへ行ってしまいそうな気がして、

不安になるんだ。


でも、触れたら君が壊れそうな気がして

俺は やっぱり見守ることしか出来なくて…。








5.いっそ奪ってしまえたら




ぐっと拳を握り締め、何度そう思ったことか…。


何を引き換えにしても、

君の気持ちを俺に向けさせることが出来るのならば、

俺は躊躇わないのに。




あいつが君に残していったものが大きすぎて、

君も俺も

身動きがとれないんだ。


あいつに近すぎた俺は

君にとってはつらいだけなのかもしれない…。



それでもいつか

あいつを越えられる日がくると

俺は思いたい。











6.見ているだけで良いと思っていたのに



もう一度君の笑う顔を見たいと思った。


いつも遠くを見ている君の瞳が

本当は何を探しているのか、俺は知っている。


そして、それはもう二度と君の瞳に映ることはないということも。



あいつの横で笑っていた君。

それを見ているだけで幸せだった俺。

あいつがいたあの頃はそれで良かったのに ―― 。








7.あの人の代わりにはなれない



あいつが逝って1年 ――

俺は君をずっと見てきた。


あまりに突然のことで 泣くことすら出来なかった君。

そんな君の隣で立ちつくす俺。


君がやっと泣けるようになってからも

俺には君にかける言葉がなかった。


ただ黙って見守ることしか出来ないんだ、俺には。

あいつの代わりなんていないんだから。


泣いている君を見るのは つらい。

だけど君を見ずにはいられない。

たとえ何も出来なくても……。








8.貴方の幸せ願うだけ




君にとっての幸せはもう終わってしまったのだろうか。

あいつといる時に全部、

君の持分の幸せのカードを使い果たしてしまったのだろうか。



「怖いくらいの幸せ」

君はあいつといる時にそれを感じていたのだろうか。



俺には 君がいつも幸せそうに笑っている記憶しかなくて

あいつがいなくなって初めて、君の涙をみた。



俺は やっぱり君の笑顔がいい。


君が幸せそうに笑う日は いつかくるのだろうか。








9.ただ、君が僕の為に泣けば良いと思った




君の顔に少しずつ明るさが戻ってきて、

俺は少しだけ、ほっとした。

あのまま、君があのままずっと俯いたままだったらどうしよう、

俺はほんとにそう心配していたんだ。



だけど、君はまだ上手に笑えないようで、

時々目元がキラリと光っていた…。

俺は見ない振り、気付かない振りを決め込んでいたけど、

ほんとは何かしてあげたかった…。

俺にできることがあればいいのに…。


こんな時、俺はあいつを羨ましく思う。

そんなにも君の心を占めるあいつが嫉ましい。





君の涙が俺の為のものだったら、

俺も少しは救われるのかもしれない……。









10.あと何度声を嗄らせば 僕の声は貴方に届く?




あいつの存在が消えてからの非日常も

だんだんとそれが当たり前の日常になっていく。


あいつに一番遠いところから

少しずつ少しずつ、「普通」に戻っていって

今は、その中心部

あいつの近くだけが、まだ悲しみの中…。



それは癒えることがないのだろうか。




俺がどんなに君に呼びかけても

君の心の中にはまだその声が届かない。


笑った君の心の中に悲しみの色が見える限り、

俺は何度でも叫び続けなければならないのだろうか。

例え、この声が嗄れようとも。





いつか

君が心から笑う日まで。









素材 :  自然いっぱいの素材集 様 より









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