「―― やっぱりここにいたんですね、神谷さん」
そう言って総司は、ほっとしたような笑みを浮かべた。
「どうして此処に?」
「だって泣く時はいつも此処にいるでしょう? あなたは」
「……そ…う……でした?」
「そうでした!」
総司がきっぱりと言い放つと、セイは先刻慌てて拭き取った涙の痕をまたぎゅっと強く擦った。
「……どうして私が泣いていると思ったんです?」
不思議に思ってセイが訊く。
「あれ? そういえばどうしてでしょうね?」
「はああっっ!?」
総司の答えにセイは思わず大きな声を出した。
「…先生っていつもそうですよね。水桶の中に映した月のように掴まえ所がない。…掴みようがない…。
追いかけようがないんだもの」
そう言うと抱え込んだ自分の膝に顔を埋めたセイ。
「か、神谷さん?」
そのまま動く様子のないセイに困って、総司がおそるおそる声をかけた。
「どうしたんですか? また泣いてるんですか?」
返事はない。
「神谷さん」
部屋に響くのは途方に暮れたような総司の声。
それを聞きながら思い出すのは今朝の夢。
哀しい夢。
夢でよかった夢。
総司が斃れる姿は見たくない。
自分は総司の盾となるのだ。
総司のそんな姿を目にすることなど無いのだから……。
「神谷さん。 ねえ、神谷さん」
セイの耳に優しい総司の言葉が響く。
その声が途絶えたかと思うと、何やら動く気配がした。
「何してるんですか? 沖田先生」
静けさが気になって顔を上げたセイが見たのは、一段高い所に上って月を仰ぐ総司。
「あの月を掴まえたら泣く理由がなくなるのでしょう?」
何を言っているのだろう、先生は。
セイの怪訝な表情などお構いなしに総司は
「その箱の中に掴まえてみせますから黙って目を瞑っていてくださいね。
―― 尤も、捉え難いのは神谷さんの方ですけどね。私はもうとっくに 捕まってますから ……」
だんだんと小さくなる声で語尾を濁しながら微かに笑んでみせた。
イラスト : HANA 様 (国語の時間ですよ!)
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HANA先生! 私も課題を提出いたしますv
しかし…
「体言止め」「会話」「繰り返し表現 」「倒置法」「比喩」
どうでしょうねえ(笑)
一応私なりに盛り込んでみましたけど ^^;
厳密にいうと怪しげなところもあるかもしれませんが
課題は取り組んでみることに意義があるということで…(苦笑
HANA先生のイラストのセイちゃんと総司がかわいく見えちゃって
今回はかわいいお話にしようと思ったのに
あんまりかわいさが出ていない気がします (>_<)
う〜ん… 書き手にかわゆさが足りないからですかねえ(笑)
こんな品ですが、皆さまの暇潰しになれば幸いです^^
sarasara拝
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